強光子場科学研究懇談会 平成16年度第1回懇談会 |
■日時 |
2005年1月14日(金曜日)14:00〜19:00
受付開始:13:30を予定。 |
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■会場 懇談会: |
浜松ホトニクス株式会社 駅前ビル(屋上に看板あり)7階会議室
浜松駅を背にして、右側の入り口(銀行の横)から入り、正面エレベータで7階に上がってください。エレベータを降りると、会議室の案内を出すように手配してあります。不明な場合には、6階受付で聞いてください。 所在地の地図を添付いたしますのでご覧下さい。 |
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■プログラム |
14:00〜14:10 |
開催のご挨拶 |
14:10〜15:2514:10〜15:25 |
土屋裕様 (浜松ホトニクス中央研究所 所長代理)ご講演
「高密度フォトンを制御して利用する」 |
15:25〜15:40 |
休憩 |
15:40〜16:40 |
大森賢治様(分子科学研究所)ご講演
「分子の内部量子状態を用いた光位相敏感メモリー」 |
17:00〜19:00 |
意見交換会 |
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■ご講演の概要: |
(1) 土屋様:
現在ではTWレベルの高密度フォトンが比較的容易に利用できるようになった.この
場合,集光点の光電場はTV/cm程度になり,従来は超大型施設でしか実験できな
かった極限状態の実験が実験室でできるようになった.ところが,高密度フォト
ンと物質との相互作用についてはほとんどの部分がまだ未解明である.筆者らは,
それ故にこの未踏領域こそが新規産業創成のための基盤技術を生み出す宝庫であ
ると考え,高密度フォトンを制御して,物質改変・変換,新材料創成,化学反応
制御などの産業に利用する研究を進めている.本稿では,高密度フォトンの制御
について概観したあと,これらの高密度フォトン反応の制御例や実験例,短寿命
放射性同位体の生成実験について紹介する.
(2)大森様: 波束の干渉
は物質の波動性を示す顕著な例であり、原子からナノ構造に至る様々
な量子系を制御する上で最も基礎となる現象である。このような量子制御は、結
合選択的な化学反応制御や量子コンピューティングといった先端的なテクノロジー
の開発に繋がるものとして期待されている。波束干渉法の鍵を握る技術は、波束
のペアーを生み出す二つの光パルスの時間間隔をいかに精密に制御できるかとい
う1点に集約される。その精度は、数フェムト秒からアト秒という波束の量子振
動の時間サイクルを凌駕しなければいけない。そうすれば二つの波束の位相差は
ロックされ、安定した干渉が得られることになる。我々は、二つの紫外フェムト
秒レーザーパルスの時間間隔をアト秒レベルの安定性と分解能で制御する「アト
秒位相変調器(APM)」と呼ばれる装置を開発した。そしてこれをHgAr分子の振
動状態に適用し、かつてない超高精度の波束干渉計をつくりだすことに成功した。
この新しい波束干渉計は、250nm近傍の短波長域においても、ほぼ100%のフリン
ジコントラストを発生させることができる。さらにこの干渉計を使えば、特定の
情報を振動固有状態の重ね合わせ状態として分子内部に書き込み、一定時間保存
した後に状態間のポピュレーション比として読み出す事もできる(ポピュレーショ
ンコード)。また最近ではヨウ素分子にも同様の手法を適用し、位相ロックされ
た二つの波束の量子干渉を実時間で視覚化することによって、固有状態間の位相
差を読み出せることがわかってきた(位相コード)。ポピュレーションコードと
位相コードを組み合わせれば、分子内に保存された量子情報を正確に読み出す事
ができるだろう。今後、強いレーザーパルスを用いた量子ゲートが開発されれば、
分子の内部量子状態を用いた量子コンピューティングが可能になるかもしれない。 |
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