超短パルスレーザー応用
先端計測分野開拓目指す ―研究コミュニティー発足―
超短パルスレーザー技術を用いた原子・分子レベルの基礎科学、および同技術を利用した新規計測手法開発などの情報交流を行う「強光子場科学研究懇談会」(JILS:Japan Intense Light Field Science Society)が10月17日に発足した。代表は、山内 薫、東京大学大学院理学系研究科化学専攻教授。 近年、高出力の超短パルスレーザー技術が急速に発展し、これらの高エネルギーレーザーを原子や分子に当てることによって、原子・分子が光と混合した新たな状況を構成することが可能になった。そして、レーザー光子場の波長、時間幅、強度、位相を制御することを通じて化学反応過程などの動的な過程を制御することも出来るようになってきた。 また、原子・分子・クラスターや固体をこのような強光子場にさらすと、超短パルスの軟X線、特性X線、高速電子線、高速原子イオンビームが高輝度で生成される。これらを物理・化学・生物・医学・工学など広い分野における実時間追跡計測に応用すれば新たな研究領域が開かれるものと学術会・産業界ともに期待を寄せている。 懇談会は大学・企業などの研究者で構成され、産業界からは日立、東芝、NTT、浜松ホトニクス、日本電子、サイバーレーザーなど現在15社が賛助会員として参加している。具体的な活動としては、懇談会(年3回程度)・総会の開催、Web上での情報交換に加え、国際会議の開催、国際学術誌の発行を行い、国際的なネットワークの形成・情報発信を行っていくとしている。
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